破壊と創造


東海エリアで噂されるチッピング犯の事を調べていたら(王滝とは別?)、なんだか気持ちが滅入った...私が思い描いていたよりも、遥かに成熟したクライマーのように見えた。かつては岩が欠ける事やチッピングに対しての問題意識も持ち、多くの良いクライマーにも囲まれていた。登りも洗練されているし、高グレードやハイボールも登っている。一体、何が彼をチッピングに走らせたのか...そして何故登り続けるのか?「岩は永久に不変では無い」「いつか欠ける」そんな考えが、彼の中でチッピングを容認していったのかも知れない。


そしてロシアのウクライナ侵攻。ヨーロッパで知り合ったロシアやウクライナ、隣国の友人、彼ら彼女らの心情、現状を想像するといたたまれない。バーで一緒に囲碁を打った早口の彼女、プロチェスプレイヤーのヴェラ、通訳のマリア、そこには特定の誰かの顔がある、声がある。国家とは何か、政治とは... そして力とは。

(実際には東欧はポーランド、バルト三国までしかその地を踏んだことはありません...どこも気品のある国だったなぁ)


破壊衝動は、人間に生まれながらにして備わっている感情だろう。それは時に創造性に向かう起爆剤でもあるのだが、使い方を間違えると今回のように殺戮や破壊に向かってしまう。


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3日かけてムーブをバラし、いざ繋げようとしたどっかぶりのプロジェクト。抜けを練習していたら、核心のキーホールドが1/3程欠けて、さらに難しくなってしまった。そして、ゴール手前のガバフレークの内部がぼろぼろと浮いてしまい、荷重すれば簡単に吹っ飛ぶ状態に...元々岩質が弱くムーブを探る途中で各ホールド欠けていたが、もう落ち着いたかと思っていた所で再び欠けた。ルーフ内部は比較的硬いが、トップアウト周辺はいつまでもぼろぼろポロポロと欠けるようだ。




ホールドの不安定さに突然モチベーションが下がってしまった...全10手、前半1級くらいのムーブをこなし、体幹をぶった斬る捻れフラレ、その後に初段くらいの核心ムーブが数手。恐らく二段〜くらいのハングだが、スタートからやるとフラレ以降がとにかく繋がらない。1トライでヨレヨレになる...息が出来ない、毎回地面に倒れ込む。二段のルーフでここまで消耗するのだろうか...


ガバのエッジが痛すぎるので初めて手袋しながら登る。以外にも作戦は大成功。



気持ちも力も入らなくなってきた所で移動。そもそも、このルーフ課題をやりにこのエリアに来た訳ではなかった事を忘れていた(笑。元々あまり惹かれて居なかったのも岩質のせいだった(最初に見たのは4.5年前、その時も同じ印象だった)。それでもたまたま取り付いてみるとムーブがカッコ良く、予想以上に難しい。ギリギリ登れそうなグレード感。どうにか繋げたかったが、あまりに欠けが多すぎる...まさに破壊と創造は紙一重だ。


メインのプロジェクトへ移動。前回軽く掃除したフェース。いままでも何人か取り付いてはいるようだが設定課題は無い。1トライ目、薄フレークを中継するムーブを選んだら、案の定一発で吹っ飛んだ。その後、中間部までは難なく到達。が、そこから明らかなブランクセクションがありムーブが見えない。いくつかムーブを試し、可能性のありそうな方向を見定めた所で終了。ラインを右に取るか左に取るか、天国と地獄の分かれ道だ。次回もう少しプッシュしてみよう。


ガバガバのどっかぶりとカチカチのフェース。面白いエリアだ。


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